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朝食を抜くことは糖尿病のリスクになるのか?

更新日:2021-03-05

忙しい毎日の朝。朝食を食べるくらいなら、身だしなみに気を遣ったり、あと5分寝ていたい。ダイエット中だから朝食を抜いてしまおう。そんなお気持ち、よくわかります。朝食を摂った時、摂らなかった時、体にはどんな影響があるのでしょうか?

午前中イライラしてしまう…
夜中も脳が動いているのは、夕食で摂ったブドウ糖を使っているからです。つまり、朝の脳はエネルギー不足状態なのです。朝、脳のためのエネルギーをしっかり摂らないと、集中力が高まらず、イライラが続いてしまいます。

午前中ボーっとすることが多い…
朝食を抜いて空腹のまま会社に行くと、脳だけでなく体を動かすエネルギーを取り入れていないために、体が重く、だるさや疲労感が残って元気がでません。


1日3食摂った場合と、朝食抜き、夕食のみの場合の血糖変動のイメージです。欠食すると、食前までの血糖値は低いままですが、食後急激に血糖値が上昇します。

食事の回数が血糖値の変動に影響することはわかりました。では、1日3食全体のエネルギーと糖の量は変えずに、朝食が重い日(たとえば朝2:昼1:夕1)と逆に夕食が重い日(たとえば朝1:昼1:夕2)では血糖値の変動に影響はあるのでしょうか?

結果)
朝食をたっぷり摂った日は、昼食後の血糖上昇が小さく、逆に、朝食が軽かった日は血糖上昇が大きくなっていました。朝食の違いが昼食後の血糖上昇に影響することがわかります。「セカンドミール効果」と呼ばれる現象です。たとえ、1日に摂取するエネルギーと糖の量が同じでも、夕食中心型の食事を摂ると朝食中心型の食事を摂るよりも膵臓への負担が大きいことがわかります。

朝食の摂取頻度を尋ねてその後の糖尿病の発症率を観察した研究がいくつかあります。結果は、朝食を抜いていた人たちに比べて、朝食を毎日とっていた人たちの糖尿病発症率はおよそ4割も低くなっていました。また、朝食を毎日とっていた人たちに比べて朝食を抜いていた人たちは、18年間で1.9kgだけ余計に体重が増えていました。肥満が糖尿病の危険因子であることはすでに明らかです。すると、「朝食を抜く→太る→糖尿病」という経路が考えられます。

将来生命を左右するかもしれない大きな問題よりも目の前の小さな快楽のほうを選んでしまう…
5分間だけ余計に眠るために抜いてしまった朝食と、その結果として本人の知らないうちに起こるセカンドミール効果、これらのために糖尿病にかかってしまう人がたくさんいるとしたら…

 

引用・参考文献:「栄養と料理」、女子栄養大学出版部、2017年5月

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