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肝臓病の食事療法

更新日:2013-02-01

肝臓病に関しては治療法も急速に進歩しており、特にウイルス性肝炎ではインターフェロンが開発され、現在まで、ある程度の効果をあげています。しかし薬物療法に頼るだけではバランスのとれた回復は難しく、肝臓の炎症を抑え、肝機能の低下を防ぐには、科学的に裏付けられた食事療法は欠かせません。

肝臓病の治療は長期に及び、「十分に栄養をとらなければ…」という意識が働き、食べ過ぎてしまう傾向が時にみられますが、必要以上の栄養はかえって肝臓に負担をかけることになります。肝臓の機能を効率よく発揮させるためには、適切でバランスのとれた栄養補給が不可欠です。

食事のポイント

<非代償期の肝硬変までには至らない肝疾患症例の場合>

★ 適正なエネルギー量で、バランスのとれた食事を。

エネルギー不足は、肝臓に蓄えられたグリコーゲンや体蛋白質が分解されてエネルギーとして利用されるので、肝機能回復の障害となります。

また、体力のみならず気力までも失われ、精神的な面にも影響が出てしまいます。かといって過剰なエネルギー摂取は、脂肪肝や糖尿病などの合併症を招きます。とくにるい痩や肥満がない限り、普通食を基本にしたバランスの良い食事をとります。

★ 蛋白質を充分に。

肝臓は体内のアミノ酸から体蛋白を合成していますが、肝細胞自体も蛋白質でつくられています。肝細胞の再生修復を促進し、肝機能を早く回復させるためには、良質で消化吸収の良い蛋白質食品を充分摂取することが大切です。

良質の蛋白質とは、体内で合成できない必須アミノ酸をバランスよく含み、体蛋白を合成しやすいものをさします。また、動物性蛋白質と植物性たんぱく質を合わせとると、必須アミノ酸のバランスが良くなります。

★ ビタミンの補給。

肝臓には、栄養素を分解し合成する働きがあり、その働き(代謝)を円滑にするに は各種ビタミンが必要です。ビタミンの助け(補酵素)があって初めて、蛋白質、脂質、糖質の三大栄養素の吸収を効果的にすすめられるのです.

肝機能が低下すればビタミンの代謝も悪くなります。ビタミンをたくさんとるには、牛乳、乳製品、緑黄 色野菜が不足しないように注意し、淡色野菜、芋、果物など、できるだけいろいろ な食品をまんべんなく食べるようにします.

<非代償期の肝硬変あるいは急性期の重症肝障害にまで至った肝疾患症例の場合>

肝硬変が安定期から肝不全に移行した場合、あるいは、いわゆる急性重症肝不全に進展した場合は、その病態重篤度により、様々な食事制限が加えられますが、基本は、医師の指示に従い、点滴その他の補助療法も用いつつ、病態変化並びに検査デ-タの推移にあわせた適切な対応が必要とされます。
とりわけ、肝硬変の病態において、肝性脳症に陥った場合、当初、周囲の人々が気づくのが遅れることがしばしばあります。

軽症の肝性脳症では、何事にも注意が散漫になる、落ち着きがなくなる、感情が不安定で動揺しやすくなる、夜不眠がちで昼間にウトウトする、口数が多くなるなどの精神状態の変化で見つかることが多く、このような症状が現れた場合は、専門医の精密検査を受けた上で、然るべき治療にはいる必要があります。
こういった状況で、高蛋白食を摂食していたり、便秘をしたり、アルコ-ルを飲んだり、精神安定剤などを服用する機会があると、肝性脳症が誘発されることになります。

肝臓専門医の慎重な管理が必要な場面という認識のもとに対処すべきなのです。

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