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糖尿病とは

更新日:2013-02-12

糖尿病とは? 【尿に糖が混じる】病気ではない!

糖尿病とは、単に尿に糖が出る病気ではありません。血液中のブドウ糖(血糖)が異常に高くなり、さらにその血糖がうまく利用できない為に体に色々な不都合が起きる病気です。
その原因は、膵臓で作られるインスリン(糖を分解し、エネルギーに変えたり貯蔵したりするホルモン)の作用が不足する事によります。

糖尿病になる人は、よく食生活が乱れており、運動不足だと言います。では、あなたは一般に比べ、特に乱れた生活を送ってきた人なのでしょうか?いいえ、違います。
ここにあげた現代社会のキーワードは、現代の多くの人たちに共通することです。当てはまるものありませんか?

現代社会のキーワード

  • (1)食べ過ぎ:飽食、グルメブーム
  • (2)運動不足:交通機関の発達
  • (3)ストレス社会
  • (4)アルコール依存症の増加
  • (5)多忙:病院にいけない

糖尿病の発症要因

IDDMインスリン依存型糖尿病)とNIDDM(インスリン非依存型糖尿病)

★ IDDM(インスリン依存型糖尿病)

インスリン

インスリンを分泌する膵臓のβ細胞がなんらかの要因で破壊され、全く分泌が出来なくなるもので、多くは若年時に発症し、急激な経過をたどって昏睡で倒れるなど病気に気づきやすいといわれています。したがって、インスリン注射なしでは生きていく事が出来ません。

★ NIDDM(インスリン非依存型糖尿病)

インスリンの分泌量が減少したり、インスリンそのものの構造異常により発症するもので、成人に多く見られます。過食・運動不足・肥満などが発症のきっかけになることが多く、進行がゆっくりなので病気を見落としがちです。膵臓は胃の裏側にあって、食物を消化する膵液や身体の色々な場所で働くインスリンというホルモンを作り出しています。
インスリン非依存型

尿糖が怖いんじゃない。合併症がこわいのです。

外来で尿糖の有無ばかりを気にしている方がいますが、それは無意味な事です。なぜ、糖尿病は治療が必要なのか?
それは、3年後、5年後の合併症を予防する為です。合併症(糖尿病があると一緒に起こりやすい病気)には、色々なものがありますが、中でも恐ろしいのは、日本人の3大死因にもなっている、心筋梗塞、脳卒中、そして網膜症による失明などです。
糖尿病の合併症
合併症の検査

治療は1に食事、2に運動、3・4がなくて、5に薬

糖尿病の治療の柱は、食事と運動です。インスリンや経口糖尿病薬を使う場合でもやはり食事と運動が正しく行われている事が前提となります。
糖尿病の治療

あなたの苦労はむくわれます

糖尿病は予防できる病気です。糖尿病という診断がついた後でも、自分の努力と行動により、合併症を未然に防げる病気なのです。

もし糖尿になったら…

糖尿病になった時、何か自覚症状を感じましたか?のどの渇きや体のだるさがあって病院を受診された方もいるかと思います。しかし、症状はなく、検診で引っかかって糖尿病といわれた人もいるかと思います。
実は糖尿病は自覚症状のないことがずいぶん多いのです。症状の始まるかなり前から糖尿病は発病しており、症状の出たときはかなり進んでいると考えなければなりません。

自覚症状は大きく2つに分けられるのです。

(1) 血糖が高いために現れる症状

体がだるい(全身倦怠感)
のどが渇く(口渇)
尿量が多い(多尿)
尿に回数が多い(頻尿)
食べても空腹感が消えずまた食べる
やせてきた(体重減少) 

(2) 合併症の進行により現れる症状

力がおちた
目がかすむ
手足にしびれ
皮膚、陰部のかゆみ
めまい、たちくらみ
インポテンツ 

自覚症状

こんな症状が出たら、すぐ医師に相談を!

1. のどが渇く
2. 体がだるい
3. 尿の量や回数が多い
4. 空腹感が消えない
5. やせてきた
6. 手足のしびれ
7. 目がかすむ
8. めまい

以上、このような症状が出ていても、まだ色々な理由をつけて我慢している人がいます

「更年期だからしょうがない」、「ストレスがたまっているせいだ」、「神経から来ているものだから心配ないんだ」などなど…。もちろん、そのとおりの事もありますが、自覚症状の一つ一つに対しては、きちんとした考え方による診察が必要です。危険な素人診断はやめ、すぐ医師に相談しましょう。

糖尿病は合併症がこわい

 1.壊疽 動脈硬化により血のめぐりが悪くなったり、神経障害で傷口の化膿に気づかないため、足が腐ることがあります。その結果、片足を切断することにもなります。 
 2.皮膚病 感染しやすいことにより起こります。
 3.膀胱炎・尿路感染症 身体の抵抗力が低下し、細菌に感染しやすく、また一度感染するとなかなか治りません。尿の回数が増えたり、陰部のかゆみで気付きます。
 4.インポテンツ 自律神経障害の一種です。心理的な影響も強いと言われています。
 5.神経障害 多いのは下肢のしびれ・痛みです。痛みは夜間増悪することが多く、そのため不眠になることもあります。
 6.腎症 初期は尿蛋白が出る程度ですが次第に腎不全へと進行し、末期では人工透析が必要。
 7.網膜症・白内障・緑内障 網膜症は成人の失明の第1位!
 8.脳卒中・脳動脈硬化性痴呆 日本人の3大死因の1つ。
 9.心筋梗塞 心筋梗塞での死亡率は健康人の4.5倍。

無自覚性低血糖
腎症はどう進む

糖尿病は直接の死因としてあげられることが少ないため、軽く考えられがちです。

しかし、糖尿病は治療せず放置すると3大合併症といわれる腎症・網膜症・神経障害と全身に様々な合併症を引き起こします。
合併症の予防こそが糖尿病の治療目的と言っても過言ではありません。

糖尿病は生涯持続する疾患であり、自己管理が必要です。

良好なコントロールを維持させるため、早期に病気を発見し、治療に取りかかれるよう何か体に異常や気にかかることがありましたら、早めに受診しご相談下さい。
糖尿病の治療は食事・運動・薬があります。

運動療法について

☆なぜ運動するの?

ジョギング

糖尿病になぜ運動療法なのか?
「私は太ってもいないのになぜ…?」と疑問に思う人もいると思います。
実は、運動療法には肥満解消以外にも、たくさん役立つことがあるのです。

☆運動療法=肥満解消ではない

エキスパンダー
運動療法の目的はこんなにあります。

(1) 直接的に血糖を下げる。
(2) 肥満を解消する。
(3) インスリンが効きやすくなります。
(4) 心肺機能、体力増進
(5) ストレス解消

☆運動はメディカルチェックを受けてから

以下のことが当てはまる人は注意が必要です。運動開始前に医師に相談してください。
(1) 腎・目に合併症のあるひと
(2) 薬物療法中の人
(3) 心肺機能に異常のあるひと
(4) 運動器に異常にあるひと
運動を差し控えたい人

☆運動は続かなければ意味がない!

なぜ、続けなければならないか?
――それは運動の代謝効果は3日で消失する! からです。
※ 続けるための10の工夫

1.一度に沢山やらない
2.急にペースをあげない
3.雨の日は休む
4.お金をかけない
5.遠くではやらない
6.必ず万歩計をつける
7.日記をつける
8.ゲーム感覚もよい
9.人に自慢する
10.家族、友人と歩く
運動療法

☆ まず、歩くこと

一口に運動と言っても色々ありますが、まず始めていただきたいのは、歩くことです。
歩行は穏やかで、日常的に継続可能な一番手軽な運動です。
しかも、歩くことに使う筋肉は、全身の筋肉の半分以上を占めており、歩行は身体の多くの筋肉の鍛錬に役立ちます。

☆ 運動を始める前に…

<正しい歩き方>
運動の基本は歩く事。どうせ歩くなら、正しい歩き方で歩きましょう。胸をはって、手の振りは大きく、膝を伸ばしてリズムカルな歩調をたもちます
だらだら歩きよりは、少し汗ばむ程度にして20~30分間、これによって1単位80kcalの消費がみこまれます。

<脈のはかり方>
手首の内側に軽く3本の指を、やや垂直にあてます。トクトクと脈が触れるのが分かるでしょうか?
運動直後に15秒間はかり、それを4倍し1分当りの脈拍数を求めます。目標は、運動直後で120回/分を超えない程度です。(50歳以上では110回を超えない程度)

☆ 膝・腰が痛い場合はどうするの?

普段から運動不足の人、膝・腰に病気がある人は要注意。まず、自分の膝・腰の状態 で運動ができるかどうか主治医に聞いて見ましょう
運動を始める場合には、様子を見ながら、自分が日ごろ歩いていた歩数から徐々に増やして目標を目指しましょう。あせることはありません
例えば今日が3000歩なら明日は3300歩というふうに、してみてはどうでしょうか?

膝・腰が痛い人の運動は?

・ 自転車こぎ――サドルに座るため膝・腰への負担が少ない。
・ 水泳――クロール、背泳ぎ等は膝・腰への負担が少ない。
・ プールでの水中歩行――浮力で体重がかからず、膝・腰への負担が少ない。 また、水の抵抗がかかるので、良い運動になる。

薬物療法

現在、糖尿病の治療にはインスリンをはじめ、たくさんの薬が開発されています。薬は食事療法と運動療法だけでは糖尿病のコントロールが得られない時に使われます。
薬を使えば食事療法はどうでも良い、といった考えは間違いです。
インスリンや飲み薬は血糖を下げる働きをもっています。医師は、患者さんの糖尿病状態や食事と運動量を考えて薬を処方しています。
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薬物療法で注意すること

【経口糖尿病薬】

飲み薬は、よけいに飲めば更に良く効くといったものではありません。飲み薬には作用の弱いものから強いものまでたくさんの種類があり、患者さんの糖尿病の状態によって使い分けられています。服用にあたっては、医師の指示を守り、規則正しく飲むことが大切です。
少々の食事や運動に乱れがあっても良いだろうと、あまく考えるのは大変な間違えです。医師は糖尿病の状態はもとより、食事や運動量をも参考に薬を処方しています。食事や運動に乱れがあると、薬も効きすぎたり効かなくなったりします。
経口糖尿病薬経口糖尿病薬02

【インスリン注射】

決まった時間に

糖尿病の治療にインスリン注射を必要とする場合は少なくありません。飲み薬でどうしても良いコントロールが得られない時、他の合併症のある時等、インスリン注射が行われます。
糖尿病の治療に欠くことのできないインスリン注射療法については、まだまだ、間違った考え方をする人がいます。

インスリンは永くうっていると効かなくなる”飲み薬を飲んでいればインスリンをうたなくても良い’等です。飲み薬は決してインスリンの代わりとはなりません。
インスリン注射が必要と判断された際には、決してこれをためらわないこと。これが大変重要なことです。

インスリンが必要だと決められた時には、毎日、一定の時間に、決められた量のインスリンを注射します。面倒だからと勝手に飲み薬に切り替えることは、大変危険なことです。
インスリンにも作用時間や同じ量でもインスリンの量の含まれ方が異なるなどいくつかの種類があります。インスリンの作用は確実で強力です。インスリンの注射によって、インスリンの不足状態は無理なくすみやかに解消することができます。

糖尿病の治療で気をつけなければならないものに、’低血糖症状’があります。低血糖症状は、血液中のブドウ糖が低くなりすぎた為に起こります。
インスリンの注射が多すぎた時、また注射後、食事が遅れたり、食事をしなかった時、他激しい運動の後などに起こります。その症状としては下図のようなものがあります。
低血糖症状

インスリンや飲み薬で治療を受けている方は、普段から角砂糖や飴玉を持ち歩き、このような症状が起きたときには早めに口に入れるようにします。
また、インスリン注射をしている人は、発熱や下痢等で食事をしないからといってインスリン注射をしないでいると、血液中のブドウ糖が異常に高まり、糖尿病性昏睡に陥ることもあります。このような時には大至急、医師に連絡し緊急入院しなければなりません。

糖尿病は生涯持続する疾患であり、自己管理が必要です。良好なコントロールを維持させるため早期に病気を発見し、治療に取りかかれるよう何か体に異常や気にかかることがありましたら早めに受診しご相談ください。
糖尿病治療の原則

糖尿病の食事療法

★適正なエネルギー量を守りましょう。

エネルギー量は、年齢、性別、身長、体重、生活活動強度などによってひとりひとり違います。また、急激にエネルギー量を減らすと食事療法が長続きしません。主治医とよく話し合い、適正なエネルギー量を知りましょう。

★栄養のバランスの良い食事をしましょう。

3大栄養素のバランスを保ちましょう。どの栄養素も過不足なく摂りましょう。糖尿病だからといって特別な食事をとったり、極端に量を減らしたりする必要はありません。また、食べてはいけない食品がある、というわけでもなく、決められたカロリーの中でバランスよく食べる事が基本です。
「食品交換表」(日本糖尿病学会編)を使う方法が一般的ですが、一度に使いこなすのは大変なので、これを参考にしながら無理なく楽しく食事をとれるようにする事が大切です。

★食事のポイント

(1)一日三食規則正しく
まとめ食いは一度にインスリンが必要になり血糖コントロールを乱します。一日三回、ゆっくりよく噛んで食べるようにしましょう。

(2)油脂の多い食事は避けましょう
油脂はエネルギー量が高く、高脂血症をひきおこします。コレステロールや飽和脂肪の多い食品に注意しましょう。

(3)塩分は控えめに
濃い味付けは食べ過ぎにつながります。高血圧の予防のためにも、できるだけ控えめにしましょう。

(4)食物繊維を摂りましょう
食物繊維には食後の血糖上昇を抑えたり血液中のコレステロールの上昇を防ぎます。

(5)ビタミン、ミネラルを十分摂りましょう
これらは、各種代謝を促します。

(6)嗜好品は決められた量を守りましょう
アルコールやお菓子類はエネルギー量が高く、食事療法を乱すことになります

※ その他合併症によって、食事療法を変更することがあります。

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