食生活の3原則

更新日:2013-02-12

なによりもまず食事療法

病気の治療というと、まず飲み薬や注射による治療が連想されますが、 糖尿病では食事療法こそが治療の基本中の基本であり、 薬より大切である事を忘れてはなりません。

「食事療法を行いなさい」と言うことは、すなわち「治療を受けなさい」と言うことなのです。 当然、定期的に通院し、食事療法による治療がうまく行っているかどうかを 血液検査で判定していく必要があります。 この事実をしっかり受け止めて理解しておかないと、 初期治療がおろそかになってしまう恐れがあります。

食事療法というと、「食べてはいけないものは何ですか」とか 「何を食べればいいのでしょうか」などという質問をよくうけます。 しかし、基本を守れば食べていけないものは原則としてありませんし、 逆に、食べ方次第ではどんな食品でも害になり得ます。

食生活の3原則

1.適正なエネルギー量を守る

私たちが生命を維持していくために、あるいは活動していくために一日にどれだけのエネルギーが必要かということは、その人の体型・活動量・年齢・性別によって違ってきます。

余分なカロリーを摂りすぎると体内に脂肪となって貯えられ肥満の状態を招きます。エネルギーは摂りすぎても不足しすぎても健康や活動力に影響します。正しいエネルギー量の摂取を守りましょう。

糖尿病の人が食事療法をおこなう場合 摂取エネルギーは その人の検査データや身体・年齢・活動強度などから 医師が指示するエネルギー量です。

一般的に一日にどのくらいのエネルギー量が必要かは次のように算出します。

まずは、自分の標準体重を求めましょう。

標準体重=身長(m)×身長(m)×22
エネルギー量=標準体重(kg)×生活活動強度

  仕事内容 仕事量(kcal/kg) 
軽い 寝たきり・専業主婦・デスクワーク 25kcal
中等度 製造業・加工業・販売業・サービス業・
育児をしている主婦
30kcal
やや重い 農耕作業・漁業作業・建築作業 35~40kcal
重い 伐採・運材作業・スポーツ選手 40~45kcal

例)身長170cm、デスクワークのサラリーマンの場合
標準体重:1.7×1.7×22=63.58(kg)
エネルギー量:63.58×25=1590(kcal) 

バランスのとれた食事を!

バランスの摂れた食事とは糖質・蛋白質・脂質・ビタミン・ミネラル・食物繊維を欠かすことなく摂取することです。

糖質・たん白質・脂質
は 私たちが活動していく源となる栄養素です。
またそれらを体の中にとりこんだり、体の働きを円滑におこなうためにはビタミン・ミネラル が欠かせません。
それらの栄養素をまんべんなく摂取するように心掛けましょう。

それに加えて食物繊維を摂ることは、食後の血糖値が急激に上昇することを防いでくれる働きがあり、合併症の予防に繋がります。
食事の度に摂取を心掛けましょう。

また合併症である動脈硬化を予防するために、動物性の脂肪を制限し植物性脂肪や魚油を摂ることも必要です。
最近は糖尿病から来る腎臓障害がふえてきています。腎臓への負担を軽くするためにも、たん白質ばかりに片寄りすぎる食事はなくしたいものです。

それでは、何をどれだけ食べたらようのでしょうか?そのものさしとなるのが、糖尿病の食品交換表です。
これは含まれている主な栄養素が同じ食品ごとに表1から表6まで分類されていて、原則として同じ表の食品については交換して食べることができます。
80kcalに相当する食品の量を1単位とよび、交換するときは、同じ単位の量で交換します。

例えば1600kcalの人は1日20単位を3食に分け、各表の目安量の食品をとれば良いわけです。各表の単位配分は症状などにより個人差もありますので、医師や管理栄養士の指示をうけて下さい。( 詳しくは各表ごとの食べ方を参照)

食品の分類表

「糖尿病の食品交換表」-日本糖尿病学会-より

食品の分類 食品の種類 表分類

主に糖質を含む食品

 ●穀類 ●芋類 ●豆類
 ●糖質の多い野菜(かぼちゃなど) 
表1
 ●果物 表2

主に蛋白質を含む食品

 ●魚介 ●肉 ●卵・チーズ ●大豆とその製品 表3
 ●牛乳と乳製品 表4
主に脂肪を含む食品  ●油脂 ●多脂性食品 表5 
主にビタミン・ミネラル
を含む食品
 ●野菜 ●海藻 ●きのこ ●こんにゃく 表6 
調味料  ●味噌 ●砂糖 ●みりんなど 付録 

規則正しく食事をとる

食事の時間が不規則だったり、食事の回数が少なくなると体内に脂肪として貯えようとする働きがつよくなってしまいます。また「まとめ食い」をすると インスリンの必要量を増やしてしまいます。
それに加え 朝食は一日の活動の源となる食事で 脳の働きを円滑にするためにも大切な食事です。朝食・昼食・夕食は 規則正しく摂るようにしましょう。

糖尿病は膵臓からのインスリンの分泌が少なくなったり、インスリンの作用が弱ったりすることから起こります。インスリンは食べたものをエネルギーに換えるために分泌され、食べた量によって、インスリン量も調整されます。
健康な人の場合は、膵臓の働きやインスリンの作用が正常なため、調整がうまく行われますが、糖尿病の場合はそれが思うようにいかないというわけです。そこで、食事療法や場合によっては薬物療法によって調整することになるのです。
食事療法の基本は、適正なカロリー・栄養バランスとともに一日に食べる食事の配分も気を配る必要があります。特にインスリン注射や経口血糖降下薬を利用している場合、食事時間を決め、きちんと食事をする必要があります。                         

肥満の方によく見られることですが、朝食を抜いたり、夜食や間食をしたりといった不規則な食事をする方がいます。いずれも、糖尿病を治療する上ではよくないことです。

例えば、食事療法を始めると1回の食事の量が少なくなるため、空腹感を感じます。そこで、朝を抜いて指示カロリーを昼と夜の2回に分け満腹感を得ようとする人がいます。1回の食事の量が増えると、それにつれて、血糖値が急激に上昇します。インスリンの量も増え、膵臓に大きな負担がかかることになります。
また、食事と食事の間隔があくと、つい間食をとってしまったり、また「早食い」や「どか食い」になりやすくなります。さらに、体の方も長時間栄養が摂れなかった事から、次に食物が入ってきた時に栄養をもれなく吸収しようとします。余計な体脂肪がつき、肥満になりかねません。

日本人は朝昼を少なく、夜を多くとる習慣があります。特にサラリーマンなどは、食事の時間が不規則になりやすく、お酒を飲む場合もありますので、ますますコントロールに支障を来しやすくなります。

血糖コントロールを良くし、膵臓に負担をかけないためには、血糖値の変化をなるべくなだらかにすることです。そのためには、決められたカロリーを数回に、均等に配分することが理想的です。3回の食事内でバランス良く摂るように心がけましょう。
食べ物の消化に合わせ、食事と食事の間は5時間くらいおくようにし、またどうしても食間にお腹がすくようなら、1回の食事量を減らし、その分を間食に回すという方法も考えられます。間食は表2の果物や、不足しやすい表4の牛乳などをあてると、摂りやすいようです。ただしその場合も、指示カロリーを超えないことが原則です。

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