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痛風とは

更新日:2013-02-12

痛風とはどんな病気?

尿酸は、体中のエネルギーの燃えかすであり、すべての人の体内で作られる物質です。血液中の尿酸の量が異常に多い状態を高尿酸血症といいます。
高尿酸血症は初め自覚症状がありませんが放置しておくと、血液中の尿酸濃度が高くなり、その結晶が足・膝・手などの関節にたまって結節(しこり)ができます。そのため、急性の炎症をおこして激しく痛む病気で、風に当たっても痛むことから名付けられたのです。

しこりは、ある日突然に足の親指のつけ根が赤くなって痛くなります。このことから痛風(急性関節炎)発作と呼ばれ、何もしなくても1~2週間で治りますが、原因になっている高尿酸血症を十分にコントロールしない限り必ず再発します。
一部には遺伝性も確認されていますが、痛風は単なる関節炎ではなく、体の中に尿酸がたまる全身病なのです。

痛風といえば、よく聞かれるプリン体はなに?

プリン体は尿酸をつくるもとです。

核酸はすべての生体の細胞中にある基本的なものの構成成分ですが、体内で必要な物質を体内にとりいれ、いらない物質を体外に出す働きをする結果、細胞の核からできる物質のことをいい、最終的には尿酸となって尿中に排泄されるまでに生じるものです。

痛風発作の症状について

これといった特徴のある前触れもなく、突然関節痛がおこり、痛みは数時間から数日続きます。
足の親指やくるぶし、足の関節の外側などが赤く腫れ、触れると強い痛みがあります。まれに手・肘・肩関節にもあらわれることがあります。
ときには筋肉痛としてあらわれることがありますので、体に激しい痛みが生じた場合にも痛風の可能性があります。

はじめての発作のとき痛みは短く、数時間内になくなり、関節障害も残りません。適切な治療を受ければ、一般に24時間以内に急性発作は消失します。
しかし、発作が何回も繰り返すと痛みがなくなるまでに、数週間もかかることがあります。その後進行していくと関節に障害がおよぶことがあります。

高尿酸血症のタイプ

血液・尿の検査で調べます。
次の3つがありますが、最も多いのは排泄低下型です。

●排泄低下型→尿酸の尿への排泄が低下するもの。

●産生過剰型→尿酸が体内で過剰に造られるもの。

●合併型→排泄低下型と産生過剰型が合併しているもの。
高尿酸血症=尿酸値が高くなる?

尿酸は常にほぼ一定量が産生され、ほぼ同量が主として腎臓から尿中に排泄されます。
しかし、体の中で尿酸が造られすぎる(産生過剰の状態)と、体の中へ排泄される量が少なくなる(排泄低下)ことが原因で尿酸値が高くなり、高尿酸血症になるのです。

痛風にかかりやすい人

●働き盛りの男性が多い。

●遺伝的になりやすい人。
(多くの場合)遺伝的素因に環境要因が加わることで発症します。

●過食・美食・早食いの傾向、肥満、アルコールの飲み過ぎ、ストレスが多い生活習慣の人。

●プリン体を多く含んでいる食事を摂る人。(後ほどの食事療法を参考にして下さい)

尿酸値が高いほど、また高尿酸血症の期間が長いほど痛風を発症する危険性が高まります。
激しい運動、脱水、急激な減量は尿酸値を急上昇させて痛風発作のきっかけになることがあります。

痛風診断に必要な検査一覧

医師による診察

血液検査

血清尿酸値を調べますが、性・年齢・薬物などにより変動します。

血清尿酸値の正常値

男性→3.0~6.5mg/dl
女性→3.0~5.5mg/dl

したがって血清尿酸値が7.1mg/dlを超えると黄信号で要注意です。さらに血清尿酸値が8.0mg/dlを超える状態が長く続くと痛風発作がおこりやすくなるでしょう。

痛風を放置しておくと、腎障害や尿路結石、血管障害などの合併症が現れます。

そのために行う検査は?

腎障害の有無

尿酸は腎臓にも付着しやすいので血液、尿の検査で腎障害について調べます。
進行すると腎不全になることもあるので注意が必要です

結石の有無

尿検査、超音波検査などで腎結石、尿路結石を調べます。

血清尿酸値が高い人は、高脂血症の割合が高く、血中のコレステロールや中性脂肪が多い人と言われています。
また、高血圧症、脳血管障害、虚血性心疾患との合併が多いこともわかっています。

必要に応じて血圧、コレステロール値、中性脂肪、血糖値、心電図などの検査を行います。

治療について

痛風は完治することの難しい病気ですが、きちんと療養をしていれば痛風発作の再発と合併症を予防することができます。要は血清尿酸値を正常範囲までに下げ、コントロールすることが大切なのです。

痛風を予防するための生活のポイント

痛風を予防するための生活のポイントは『日常生活の改善』と『食生活の改善』です。

『日常生活の改善』はどうしたらいいの?

●定期的に検診を受けて尿酸値を確認する。

●太りすぎないようにする。

●バランスのよい食事を心がける。

●尿酸合成に関係の深いプリン体を多く含む食品の摂取を少なくする。

●アルコール摂取も制限する。

●肥満解消にも効果があると言われている自分にあった適度な運動をしましょう。
(ウォーキング、ジョギング、軽いエアロビクス、水泳、サイクリングなど)

●心身のストレスや過労を避ける。

尿酸値を下げるお薬の話

痛風・高脂血症の血清尿酸値を下げる治療薬は2種類あるといわれ、患者さんのタイプによって使い分けられています。
1.尿酸排泄剤排泄低下型や合併型の患者さんに使われる薬
→尿酸の尿への排泄を促進します。

2.尿酸合成阻害剤産生過剰型の患者さんに使われる薬
→体内の尿酸の産生を抑えます。

ここで重要なことは血清尿酸値を下げる薬はほぼ生涯にわたって内服する必要があるということです。大切なことは指示通りにきちんと薬を飲み続けることです。
半年以上にわたり尿酸値を4~6㎎の間に安定することができれば、二度と発作は起こらないとされています 。尿酸値が短期間の内服で下がったといって中止する(飲まなくなる)と尿酸値はもとの高い値にもどってしまいます。しかし、薬を飲み続けるなかで異常を感じたとき(薬の副作用)には、すぐにその症状を担当医にお話して下さい。
特に飲みはじめの頃は注意が必要です。

高血圧、糖尿病、高脂血症などの成人病を合併している場合にはこれらの治療も含めておこなっていきます。

痛風の食事療法

摂取エネルギーの適正化

痛風は肥満の人に多く見られます。食事全体の摂取量を減らし、減量すれば尿酸値も低下するといわれています。合併症の予防や治療のためにも、標準体重にコントロールする事が重要となります。しかし、極端な低エネルギー食は尿酸の排泄を困難にするので徐々に減量するよう心がけましょう。

*プリン体の多い食品は避けましょう尿酸の材料となるプリン体の摂取量を制限しましょう。

☆食事のポイント☆

①蛋白質を摂りすぎない

牛乳、乳製品、卵を除き、一般的に蛋白質食品にはプリン体が多く含まれています。また、蛋白質自体の過剰摂取も尿酸の産生を増大させます。肉や魚は脂肪の少ない部分を選びましょう。

②脂肪、甘い糖は控えめに

脂肪の摂り過ぎは、尿酸の排泄を妨げ尿酸値を上昇させますし、肥満や高脂血症を招くことは言うまでもありません。肉や魚に含まれる脂質にも注意し、調理にはできるだけ植物性油脂を使うようにしましょう。
また、果物の糖分である果糖にも尿酸を上昇させる作用があります。

水分と食物繊維をとりましょう

③水分摂取量を増やし尿量を増大させると、尿酸の排泄がスムーズになり、尿路結石の予防にもなります。ただし、この場合の水分はジュースや炭酸飲料では糖質が増えるので不適当です。水、お茶、ウーロン茶など積極的に摂りましょう。
食物繊維は、血糖の上昇を抑え脂肪の吸収を妨げることから、肥満や高脂血症の予防にもなります。野菜や芋、海草を多くとるようにしましょう。

④アルコールは避けましょう

アルコールは、尿酸の排泄を妨げ体内の代謝経路を乱して尿酸の産生を促し、飲みすぎると尿酸値が上がります。また、アルコール自体が高エネルギーで、食欲を増大させるので、過食を招きます。できれば禁酒とし、それが無理なら、なるべくお酒を飲まない日を設けるようにしましょう。

みなさんは日常生活に気をつけて、高尿酸血症がある人でも、内服薬を中心(日常生活・食生活の改善も大切)とするしっかりとした治療を行うと、痛風発作、その他の合併症には至らないはずです。
残念なことにお薬を途中で中止して発作を何回か繰り返す患者さんが少なくありません。根気よく治療を続けることがとても大事であることを十分認識することです。

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