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高血圧とは

更新日:2013-02-12

心臓から送り出された血液は、動脈を通って末梢組織に運ばれます。このとき、血管の壁を押す力が『血圧』で、これが一定以上に高い状態が『高血圧』です。高血圧には2つのタイプ「本態性(一次性)高血圧」と「二次性高血圧」があります。

● 本態性(一次性)高血圧

高血圧の中でも心臓や脳、腎臓、内分泌器官などに異常がみられず、ただ血圧が高いだけのものをいいます。この場合、遺伝性が高く、両親またはそのどちらかが高血圧の場合は、その子供も高血圧になる確立が高いという統計が出ています。

● 二次性高血圧

原因が明らかなもので、若い人でも腎臓病やホルモンを分泌する内分泌器官の病気があると、血圧を上昇させるホルモンが過剰に分泌され血圧が高くなることをいいます。

血圧のときよく聞かれる収縮期・拡張期血圧はなにをいっているか知っていますか?

心臓が収縮して血液が送り出されているときの最も高い血圧を「収縮期血圧」(上の血圧)、心臓に血液が戻ってきているときの最も低い血圧を「拡張期血圧」(下の血圧)というのです。
ですから血圧を記載するとき、例で血圧120/60mmHgとしたら120が収縮期血圧、60が拡張期血圧ということになります。
正常血圧と高血圧の間にはあきらかな境界はありませんが、
正常血圧は130/85mmHg未満
正常高値かつ危険信号域が130~139/85~89mmHg
高血圧は140/90mmHgを超える場合、またはどちらか一方が上回っていてもいいます。

高血圧治療ガイドライン
高血圧治療ガイドライン

原因はなに?

高血圧症の原因は1つではありません。

・遺伝的素因も関与している。
・近年の生活様式の中での様々なストレスや生活習慣が関係している。
・喫煙は心拍数を上げ、同時に血液中の酸素量を低下させる。
・脂肪や糖分のとり過ぎは、肥満や血液中のコレステロール上昇の原因となり、また心臓への負担を増加させる。
・アルコールの飲みすぎも同じような影響を与える。
・食塩のとり過ぎや運動不足も原因となる。

静かに忍び寄る症状

高血圧そのものには自覚症状がほとんど無く、直接の死因となることもほとんどない高血圧症。
しかし、血圧が高くなりかけた初期に頭重感・めまい・肩こり・耳鳴りなどがおこり、ほてりや吐き気などを伴うこともあります。
治療をしないまま長期間放置しておくと、全身の動脈硬化をおこし、色々な合併症がでてきて生命の危険にも関わってくることから、高血圧のことを『サイレントキラー(静かなる殺し屋)』と呼んでいます。

合併症について

高血圧の影響を受けやすい臓器としては、心臓・脳・腎臓および眼などがあります。

1.心臓への影響

心臓への影響

高血圧により心臓の仕事が増加し、心肥大がおこります。そしてついには心不全をおこしてしまいます。また心臓自身を栄養する動脈(冠動脈)の動脈硬化により狭心症や心筋梗塞をおこしやすくなります。
ただし心肥大や狭心症の原因には高血圧以外のものもありますので、検診などで心電図異常を指摘された時には早めにご相談ください。

2.脳への影響

脳への影響

脳につながる動脈や脳内の動脈に動脈硬化をきたし、脳出血や脳梗塞をおこしやすくなります。現在はエコーやMRIで簡単に脳につながる動脈や脳内の動脈の動脈硬化についての程度を知ることができます。

3.腎臓への影響

腎臓内の細かい動脈の硬化により腎臓への血液量が減少して、腎臓はやがて小さくなってしまいます。こうなると腎機能は次第に低下し、ついには腎不全をおこします。
腎機能が低下すると腎より血圧を上げるホルモンの分泌が高まり、さらに血圧が上昇し、悪循環を形成します。もともと高血圧でなくても腎機能が低下してくることもあります。
早期に腎機能異常をみつけるために、尿検査で血尿や蛋白尿を指摘されたことのある方はご相談ください。

4.眼への影響

重症の高血圧では脳出血とともに眼底出血の危険性があります。突然視力の低下がみられたり、視界に色が付くような場合はすぐに眼科医にご相談ください。

高血圧と診断するためには?

(1)いつも血圧が高いか
(2)本態性(一次性)・二次性高血圧か
(3)高血圧による悪い影響(臓器障害)や心臓血管系合併症は出ていないか
(4)他の危険因子をどの程度もっているか
(5)ほかの合併症はないか
上記のことなどを見極めなくてはいけません。これらをきちんと把握して、初めて適切な治療ができるのです。

治療について

最近は、薬物療法が進歩しているため降圧薬(一般診療で用いられているのは→利尿薬・β遮断薬・α遮断薬・Ca拮抗薬・ACE阻害薬・アンギオテンシンⅡ(AⅡ)受容体拮抗薬の6種類)を合併症に応じて個別性に使い分けています。
これは対症療法にすぎず、根本から治療していることにはなりません。治療の目標は血圧を下げるのみではなく、合併症の改善をはかることにもあるのです。

自分で家庭血圧の測定を行うことをおすすめします。

運動した時や緊張した時などに、血圧が変動するのは日々経験することです。だから、一度だけ測って高くても、高血圧だとはいえない場合がしばしばです。
しかし、診察室で医師や看護婦に測ってもらった血圧は高いが、自宅にて自分で測ると正常という人もいます。白衣の医療スタッフの前では血圧がアップするという意味で『白衣高血圧』と呼びます。この場合には降圧薬は原則として必要ありません。
診察室での血圧も家庭での血圧も、どちらもその時の正しい測定値ですが、診察室では緊張して高くなる人がいるのです。

家庭血圧が高血圧で、診察室での血圧がさらに高い場合を『白衣現象』と呼んでいます。
白衣現象が大きい人で、診察室で測った血圧値しかない場合、医師が降圧薬の効果が不十分と判断して薬を増やし、ふだんの血圧が下がりすぎてしまう危険もあるのです。

家庭血圧は高血圧の診断・評価に重要ですから、自宅で正しい血圧を測ります。記録用紙に服用時刻・測定時刻・脈拍数・体調・症状などを記入しておき、医師に見せ今後の治療に役立てるのです。

★家庭血圧の正しい測定方法のポイント★

血圧計のこと
家庭で測定する自動血圧計を選ぶ時には、上腕で測定する機器がいいでしょう。なぜなら、手首や指で測るのは高血圧や高齢の方では本来よりも低い値がでやすいからです。

環境のこと
静かな部屋で室温は20~25℃が適当です。

患者さんのこと
毎日、同じ時間に同じ姿勢(座位)で排尿・排便をすませてからにしましょう。食事・アルコール・タバコ・運動・入浴後は避ける。数分の安静のあと、心身ともにリラックスした状態で測定します。
降圧薬を服用中で、1日に1回測るとすれば朝、服用前、つまり降圧薬効果が薄れている時が適当でしょう。
1日2回測定できれば就寝前を加えます。
服用2~4時間後の最も降圧効果が強い時に血圧が下がり過ぎていないか、薬の効き具合を時々チェックすることも必要です。

測定するとき
上腕で測定します。測る腕と心臓を同じ高さにします。カフは上腕に指1本入る程度に巻きます。

測定が終わったら
必ず記録します。1年に1度は測定装置の点検をして下さい。

※血圧の変動に応じ、自分の判断で降圧薬の服用をやめたり、多くしたりするのは危険なことです。必ず主治医と相談して下さい。

自分でどのようなケアを行って行けばよいのでしょうか?

・ストレスは高血圧症にとって良くありません。十分な休養・気分転換を心がけましょう。
~リラックスすることで交感神経の緊張状態がとれて血圧が下がるため

・十分な睡眠(7~8時間)をとり、1日の疲れやストレスを取り除きましょう。

・喫煙は高血圧症に良くありません。禁煙することが最良です。節煙は現在すすめられず、禁煙です。

・夏のエアコンでの冷やし過ぎは良くありません。部屋の内外の温度差を小さくしましょう。

・お風呂はぬるめのお湯(38~40度)でゆっくりと入りましょう。

・飲酒も血圧を上げるので出きればやめましょう。

・適度な運動をしましょう。

運動すると血圧は上がりますが、上がり方は人それぞれです。しかし、軽い運動を定期的に長期間続けると、血圧は下がることが証明され、肥満の解消にも効果があります。

まずは、気温の高い昼間に、準備運動を充分行ってからだを温め、柔軟してから運動を始めます。運動の種類は全身の筋肉を穏やかに使って、心肺機能を鍛える有酸素運動が適しています。
なかでもいちばん手軽なのは歩くことです。最初はゆっくり、慣れてきたら距離をのばして、早足で20~25分間くらい歩きます。水泳もゆっくり泳げば同じ効果が得られますし、水中運動なのでひざの関節などを痛める心配もありません。運動中はときどき心拍数を測り、110~120くらいの運動量にするとよいでしょう。
運動後、平常の心拍数にもどるのは健康な人より時間がかかりますので、安静にしてもどるのを待ちます。
どちらの運動も消費エネルギーはあまり多くありませんが、長く続けると血圧は下がり、HDL(善玉)コレステロールが増えてきます。

☆一般に高血圧とは一生付き合っていくため、自分自身の管理をしっかりしなくてはいけないのです。何かわからないことがありましたら、気軽にご相談下さい。

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