肝臓の治療
急性肝炎の場合
何よりも安静が第一! 壊れた肝細胞を治すためにはその為の材料を運んでくる血液の量が肝臓内に多く流れる程、良いことになり、安静は回復を早めるのです。
他、食事療法・点滴が個々の状態に合わせて選択されます。但し、アルコール性肝障害・脂肪肝の場合は医師の治療に従い、食事療法に加え、運動療法を考慮していかなくてはなりません。
慢性肝炎の場合
薬物療法が主に行われ
・肝臓の働きを助け、回復力を高める薬
・漢方薬
・強力ネオミノファーゲンC(グリチルリチンサン製剤)
・ウィルスの増殖を抑える働きのある抗ウィルス剤=インターフェロン療法
など血液検査でGOT・GPTの値をコントロールしていきます。
自己免疫性肝炎
ステロイド療法
肝癌
内科的治療法
《経動脈的塞栓療法(TAE)》
《経皮的エタノール注入療法(PEIT)》
肝癌外科的治療法
《手術による肝切除》
癌の大きさ・数・他の臓器への転移の有無・肝機能をみて治療方針をたてていきます。
肝臓は私たち生命維持に欠かせない最も重要な臓器の一つであります。
今まで健康診断を受けたことのない方、肝臓の疾患をもちながらも治療中断の方、または治療を継続している方などで、何か気にかかる事があったりましたら一度検査をお受けになるか、ご相談ください。
食事のポイント
適正なエネルギー量で、バランスのとれた食事を。
エネルギー不足は、肝臓に蓄えられたグリコーゲンや体たんぱく質が分解されてエネルギーとして分解されるので、肝機能回復の障害となります。
また、体力のみならず気力までも失われ、精神的な面にも影響が出ます。
かといって過剰なエネルギー摂取は、脂肪肝や糖尿病などの合併症を招きます。
とくにるい痩や肥満がない限り、普通食を基本にしたバランスの良い食事をとります。
たんぱく質を充分に。
肝臓は体内のアミノ酸から体たんぱくを合成していますが、肝細胞自体もたんぱく質でつくられています。
肝細胞の再生修復を促進し、肝機能を早く回復させるためには、良質で消化吸収の良いたんぱく質食品を充分摂取することが大切です。
良質のたんぱく質とは、体内で合成できない必須アミノ酸をバランスよく含み体たんぱくを合成しやすいものをさします。また、動物性たんぱく質と植物性たんぱく質を合わせてとると必須アミノ酸のバランスが良くなります。
ビタミンの補給。
肝臓には、栄養素を分解し合成する働きがあり、その働き(代謝)を円滑にするには各種ビタミンが必要です。ビタミンの助けがあって初めて、たんぱく質、脂質、糖質の三大栄養素の吸収を効果的にすすめられるのです。
肝機能が低下すればビタミンの代謝も悪くなります。ビタミンをたくさんとるには、牛乳、乳製品、緑緑黄色野菜が不足しないように注意し、淡色野菜、芋、果物など、できるだけいろいろな食品をまんべんなく食べるようにします.
急性肝炎
発病初期には食欲が低下し、悪心、発熱などの症状が重なるため、十分な栄養を摂取するのは困難になります。食欲に合わせた食事をとることが大切です。
栄養補給は早めに
肝機能の回復を早めるため、食欲がある場合、あるいは食欲が回復してきたら、できるだけ早い時期から必要栄養量を摂取するようにしましょう。その際、栄養不足過剰には注意です。
頻回食に
一度に多く食べられない場合は食事回数を多くして少量ずつ食べたほうが、肝臓や胃腸への負担も軽くなります。
消化吸収の良い食品を
食欲だけでなく、消化吸収能力も低下しているので、口当たりがよく、食べやすい流動食や粥食にしましょう。
脂肪は控えめに
脂肪の吸収障害をきたしやすいので、脂質摂取は控えめにしましょう。また、食欲不振や黄疸が強いときは制限が必要です。
慢性肝炎
慢性肝炎は治りにくく治療は長期間を要するがほとんどは、自覚症状も見られず、食欲もあることが多いのが現状です。必要以上のエネルギーは肥満や脂肪肝を生じる事があるため適正エネルギーの摂取を心がけましょう。
栄養のバランスに気をつける
良質のたんぱく質含有食品をはじめ、糖質、脂質、ビタミン、無機質など、多種類の食品を摂取しましょう。
調理法に工夫を
腹部膨満、食欲不振、吐き気など胃腸症状を軽減するよう、食物繊維の多い食品は避けて、蒸す、煮るなどの工夫をしましょう。
薄味に
体内に水分が貯留しやすい状態になっているので、塩分を減らすことが必要です。
その他
・ 添加物を含む加工食品などは避け、食品素材を用いましょう。
・ 香辛料などの刺激物の制限
・ 炭酸飲料など発泡性のものもさけ、アルコールは完全治癒まで禁止
脂肪肝
脂肪肝はアルコールの多飲、過食、肥満、糖尿病などが原因で発症します。薬剤は補助的に用いられるので、脂肪肝を起こす原因を明らかにし、これらを除去、改善する事が必要です。
摂取エネルギーを制限
肝臓に蓄積された脂肪を除去することが目的なので、消費する分より摂取エネルギを少なくし、エネルギーを不足させることが必要です。
脂質、甘いものは控えめに
肉の脂身やバターなど動物性の油や、砂糖、菓子類のショ糖、果糖は体脂肪になりやすいので、できるだけ制限しましょう。
禁酒する
アルコールは肝臓に負担をかけると同時に肝臓で脂肪に合成されやすく、高エネルギーである上に食欲を増進させる作用があるので、アルコール性脂肪肝はもちろんのこと肥満、糖尿病の場合も禁酒とします。
食物繊維をとる
低カロリーで、満腹感を得られる食物繊維は、脂質や糖質の吸収を遅らせるので、多めにとるようにしましょう。
※慢性肝炎で病状が安定しているときは一般に、積極的に栄養補給をしますが、肝機能の異常が脂肪肝であった場合、高エネルギー食は治療を遅らせる事になります。