骨粗鬆症とは
昔は歳をとったら背中や腰が曲がり、痛むのは仕方がないことと思われていました。しかし、最近ではそれが、『骨粗鬆症(こつそしょうしょう)』という病気のためということがわかったのです。
それでは骨粗鬆症とはどのような病気なのでしょうか?
骨に含まれるカルシウムを中心としたミネラル(骨塩)の量が年齢とともに減少する傾向があり、骨がもろくなると骨折しやすくなります。
正常ではぎっしりと骨が詰まっていますが、骨粗鬆症では大根に「す」が入った状態(若い頃の30~40%くらいまで少なくなると)骨の中身がスカスカになってしまった状態のことをいいます。
この病気は女性に多く、50歳女性の閉経後に急激に骨量が減少し閉経期後骨粗鬆症とよばれ、60歳以後は男女とも徐々に骨量が減少しますが、これを老人性骨粗鬆症とよびます。
そして骨粗鬆症になると、(1)骨折しやすく、治りも遅い→(2)寝込む期間が長くなる→(3)内臓の働きが悪くなる→(4)さらに骨がもろくなる→(5)寝たきりになる心配がある…という大きな問題があります。
実際、診断されても骨折しないかぎり痛みはおこりません。ですから最も大事なことはころぶことを防ぎ骨折しないようにすることです。骨折をすることで先程も述べたように寝たきりという大きな一因となってしまいます。
診断するにはこのような方法があります。
単純X線写真・骨量測定・骨密度測定・骨塩定量などの装置により定量的に診断が容易となっています。
★当院では、骨塩定量の検査を施行しています。とり方は手のX線写真をとるだけで、痛みもなく簡単に行える検査です。気軽にご相談ください。
このような症状がでてきたら要注意!!
・背中が丸くなり、腰が曲がってくる。
・背丈が縮んでくる。
・背中や骨が痛くなる。
・ちょっとしたことで骨折し、治りにくくなる。
骨粗鬆症による骨折しやすいところはどこ?
・腕の付け根 (上腕骨外科頸)
・背骨 (脊椎)
・足の付け根 (大腿骨頸部)
・手首 (橈骨遠位端)
骨粗鬆症になりやすい人とは?
・閉経を迎えた女性か、70歳以上の男性
・家の中でじっとしていて、あまり動かない人
・カルシウム不足、その他栄養バランスの悪い人
・やせている人
・家族に骨粗鬆症と診断された人がいる人
・糖尿病、または胃や腸の手術を受けたことがある人
・月経が不規則な女性
・慢性膵炎などで長く脂肪制限食を続けた人
骨粗鬆症は予防できることをご存じでしょうか?
その方法とは…
(1)運動療法 【適度な運動をするように心掛けましょう】
食べ物からとったカルシウムを骨に蓄えるためには、体を動かすことが必要です。
散歩・ゲートボール・ジョギング・エアロビクスなど、適度な運動は骨の新陳代謝を活発にし、カルシウムが骨に定着するのを助けてくれます。
運動を始めるときは医師とよく相談してからはじめましょう。
(2)日光浴療法 【積極的に戸外へ出て、日光浴をしましょう】
カルシウムの吸収を助けてくれるビタミンDは日光浴で作られるからです。皮下脂肪にはビタミンDになる前の物質があり、日光の紫外線を浴びることによりビタミンDに変化します。
(3)食事療法 【食事は片寄らず、栄養のバランスを考えてとりましょう】
カルシウムの利用を妨げる塩分・アルコール・タバコを控えるなどの注意は大切なことです。
★食事のポイント
・ カルシウムをしっかりとる
最近では、骨粗鬆症を予防するのには1日800~1000mgのカルシウムが必要といわれています。牛乳、大豆製品、小魚、海草、緑黄色野菜などがカルシウムを多く含む食品です。
・ たんぱく質をとる
たんぱく質が不足すると、カルシウムが腸壁から吸収されにくくなります。魚、肉、卵、牛乳、大豆、大豆製品などがたんぱく質お多く含む食品です。
・ ビタミンDもとる
ビタミンDには、カルシウムの吸収を良くする働きがあります。真いわし、かつお、さんま、かれい、さけなどがビタミンDを多く含む食品です。
(4)薬物療法
骨粗鬆症の治療薬は、骨量の減少の抑制、骨量の増加、骨折の予防を目的に使用されます。しかし、お薬は骨粗鬆症の検査を受け、医師の指示を受けてからになります。
主な治療薬の種類として
腸管からカルシウムの吸収を促進し、体内のカルシウムを増やすお薬
骨の形成を促進するお薬
骨の溶解を抑制するお薬